「ただいま」


焼きそばロールを片手に輝好が戻って来た。


「輝好~。確かにこれは厳しいけどさ、食べなかったらおばさん泣くぜ?」


凛の一言は最もだった。


子供っぽい母のことだから残せば悲しむに違いない。


「凛・・・食べるか?」


待ってましたと言わんばかりに、凛は輝好の弁当を掴み取った。


実はこんなことは日常茶飯事なのだ。


中学の頃も、大半は凛に弁当をやり自分は購買へ・・・といった具合だ。


「うわっ!秋覇の弁当すげぇな!!おばさん料理上手いの?」


「あぁ、これ?自作ですよ、自作!!」


秋覇の弁当は栄養バランスも考えられていて、全てが凝りに凝っている。


凛は輝好の弁当をたいらげると、芝生に寝転がり天を仰いだ。


「あぁーあ。俺すっげぇ幸せ♪このまま死んでもいいかも~」


満腹になった凛が口にした言葉に、秋覇が顔を曇らせた。