人間、嫌な予感がすれば当たるもので、母の手には手製の弁当らしき袋が。


「はい、輝好!」


差し出された弁当に輝好は戸惑った。


昼はコンビニで買おうと思っていた。


いや、正直に言うと“買いたかった”


というのも由里は少々、料理オンチで見栄えは上出来なのに対し味がいまひとつなのだ。


さっきのベーコンも何故か甘かった・・・


父は父で味オンチなので、今の料理に満足しているらしい。


「・・・あぁ」


迷った挙句、受け取った。


それを鞄に仕舞い込み、ドアを開けた。


外はまだ薄暗い。


「行ってらっしゃい!!」


由里に見送られながら、輝好はバス停まで急いだ。