自室から出ると、目玉焼きのいい匂いが鼻を掠めた。


「輝好!早かったのね。おはよう」


リビングへ入ると、エプロン姿の輝好の母、由里がフライパンを手に微笑みかけた。


「おはよう」


輝好は感情の篭っていない声で返した。










この人は好きじゃない・・・










自分の母親なのに。


頭では分かっていても、何となく輝好は由里に引っかかりを感じていた。


それが何かも分からないが。


テーブルには三人分の朝食が並べられていた。