「何か交換条件でもあるのか?」


疑り深い輝好は探りを入れる。


「何も。あ、でも友達になってくれたら嬉しいな」


輝好は一瞬顔を歪めた。


「友達」という言葉は輝好にとって重いものでしかない。


凛でさえも輝好は友達と呼んでいいのか分からなかった。


「別に構わないが、俺は友達らしいことはしてやれない」


曖昧な返事だったが、彼にとってはいい返事だったらしい。


口の端を上げると、持っていた鍵を輝好に差し出した。


「あ、僕の名前まだ教えてなかったね。1-8、水城 秋覇(みずしろ しゅうは)。よろしく!」


「1-7、鷹須賀 輝好だ」


名前だけの自己紹介を終えると、秋覇は手をひらつかせ輝好が入ってきた扉から出て行った。










残った輝好は手渡された「屋上」の鍵を握り締めた━・・・