由実によって作られた料理たちが、テーブルに整列している。


今日は特別で、いつもは小皿に分けられている料理が、大皿に乗せられていた。


相変わらず見栄えはいい。


輝好はこの見てくれだけの料理からどんな味が繰り出されるのか、気が気でなかった。


健吾も早めに帰ってきたので、夕食は四人で食べることにした。


それぞれが席につくと、秋覇の前に座った健吾が穏やかな表情で話しかけた。


「こんにちは。ゆっくりしてってくれよ」


「お世話になります」


「ほらほら、堅苦しい挨拶はやめて!食べましょう」


由実が手を合わせたのを合図に、男三人も手を合わせた。


「「「「いただきます」」」」





時計の長針が二周回った頃、すでに皿の料理はなくなり四人は談話を楽しんだ。


「二人は学校で仲いいの?」


「凛も交えて三人でいる」


「この間凛が「おーい!!」


秋覇の声を健吾が遮った。


今まで秋覇の向かいにいたはずの健吾は姿を消していて、どこから声が聞こえているのか、三人は首を回して辺りを探した。


「今日はガンガン飲むぞ!」


もうすでに飲んでいるかのようなテンションの健吾は、テーブルに次々アルコールの入った缶やビンを置いた。


「俺らは飲めない」


「輝好~、堅苦しいこと言うなよ。父さんが十六歳は友達と飲んでたぞ~」


まるで父と子が反対の親子に秋覇は笑った。


「秋覇くん、飲む?」


由実が小さなグラスにお酒を注ぎ、秋覇の前に差し出した。


「いただきます」


秋覇はグラスを由実の手から受け取り、中身を喉へ通した。