由実に秋覇のことを伝えると、迷惑がるどころか手を叩いて喜んだ。


「凛君以外の友達を家に招くなんて、いつぶりかしら」


夕食に力を入れようとする由実に、どうか調味料だけは間違えないでくれと心の中で願った。


夕日が沈んだ頃、玄関のチャイムがリビングに響いた。


防犯カメラのついているインターホンに、秋覇が写っている。


扉を開けようと玄関に向かうと、一足先に由実が秋覇を迎え入れていた。


「秋覇君ね!綺麗な顔してるわ~。さっ、入って!」


「よろしくお願いします」


深々と頭を下げる秋覇の背中を由実が叩いた。


「気にしないで!好きなだけいればいいから」


すっかり打ち溶け合っている二人に輝好は苦笑を漏らしつつ、秋覇に声を掛けた。


「部屋は二階だ」


階段の突き当たりに余っていた、六畳の部屋へ秋覇を通した。


「こんな広い部屋借りてもいいの?屋根裏でいいのに」


「さすがに屋根裏はないだろう」


「ありがとう」


荷物を置くと、二人は輝好の部屋へ移動した。


「親は大丈夫なのか?」


「今、親ともめてるから、いなくても大丈夫だよ。それに家でもあんまり顔合わせないし」


秋覇は荷物の中からスナック菓子を取り出し、袋を開けた。


それを輝好の前に差し出し、取るように促した。


輝好が食べると、秋覇も一つ口に入れた。


塩っ辛さが口内に広がる。


「話ぐらい聞くぞ」