初めて凛を連れて屋上へ出た。


輝好の読みは当たっていて、屋上には秋覇がフェンス越しに外を眺めていた。


「秋覇?」


凛の少し低い声が耳に届いた秋覇は、振り向いた。


気のせいか、顔が少し青白い。


「2人共…」


「秋覇、大丈夫かよ?」


心配した凛が傍へ駆け寄る。


秋覇はフェンスに背中を預け、そのまましゃがみこんだ。


輝好と凛も、秋覇に合わせてしゃがんだ。





「あの家に…もう帰りたくない」





普段、子供じみたことは全く言わない秋覇が、弱音を吐いた。


「どうして?」


凛は秋覇の顔を覗き込み、無理に秋覇と視線を合わせようとした。


「あそこにいると…俺がなくなっていくのが分かるんだ」


秋覇の魂が体から抜け出そうとしているように、輝好には見えた。


「もう嫌なんだ!!この学校も……ただの檻だ」


秋覇が声を荒げた。


初めて見る友人の姿に、2人はどうすることもできず、ただ秋覇を見つめることしかできなかった。