「一体、何があったんだ」


「さっきまでメールしてたんだけど、いきなり家を出るって」


凛は携帯をポケットから出すと、輝好に見せた。


【もう俺、あの家ムリ。近日中に家出すると思う】


思い詰めたような文章に、輝好は眉をひそめた。


「秋覇はまだ学校にいるのか?」


「家に帰りたくないって言ってたし、多分いると思う。さっきから探してんだけど…」


輝好は秋覇が屋上にいることを、確信した。





秋覇と俺は同じにおいがする―





「凛、屋上に行くぞ」


「え?でもあっこ立ち入り禁止じゃ…」


輝好はポケットから鍵を取り出し、凛の前でちらつかせた。


「マジ!?」


「さっさと行くぞ」