「…ご…う…さん?」



「豪でいい…言ってみろよ?」



「……豪……」



「良くできました」



とあたしの頭を撫でふっと笑った。



「びしょ濡れだな…おいっ…拭くものないか?」



後部座席から助手席に話し掛けた豪。



助手席の男はダッシュボードを探り、「はいっ」と振り向いた。



「はじめまして 佐伯 海斗 です」



ふんわりと優しく笑った彼は、知的で大人な感じを醸し出していた。



「…波川あやめ…です…」



「珍しいね豪が女の子に優しくするなんて」



そう言って、あたしの頭を拭いていた豪を見てクスクス笑っていた。