見た目はクールで恐い感じがしたが、温かくて優しい男だった。



歳は上だろうと思ってはいたが、一つしか変わらないとは…



全身を黒で統一した豪は、まるで黒豹のようだった。



しなやかな身体に鋭い瞳…



いちど捕らえられたら逃げられない。



じっと見つめられ動けなかった。



豪はあたしの揺らぐ瞳を見つめ言った。



「何があったかなんて無理に言わなくていい…話したくなったら言えよ…そん時は聞いてやるから」



優しい言葉と頬を包む大きな手の温もりで、止まりかけた涙はまた溢れ出す。