大翔がここまで恋に、それも一般人との恋に過敏になるのには訳がある。



僕たちが『Cute Boys』を結成して、ようやく波に乗り出し、お互いが気を許せるようになったころ



大翔が僕らに言ったことがある。



『……好きな気持ちを諦めるって辛いもんだね。』



大翔には幼馴染みの女の子がいる。



大翔は、ずっとその子のことが好きだったんだけど、



結局、気持ちを伝えられないままアイドルになり、



その子を傷つけるくらいなら、自分が傷つけばいいと思った、



そう僕らに語った。



『……アイドルと一般人が恋愛して上手くいくわけがないんだ。』




僕もそう思う。



きっと、相手の女の子が傷つくから。



……だから、僕も心にブレーキをかけなきゃ。



……『Cute Boys』のみんなに迷惑はかけられない。


……でも正直、自信がなかった。


初めての胸の高鳴りを、


アイドルとしての僕ではなく、


男としての僕が抑えられるかどうかが。