「……あの子は無垢すぎる。」



里奈ちゃんと光樹が部屋から出ていって、スタンバイに向かう途中、大翔が僕に言った。




「里奈ちゃんは、ただ1人のファンとして、『Cute Boys』が、良介が好きなんだ。」




「……うん。」



それは分かる。里奈ちゃんが今の状況に興奮してることも。



「もしもこの先、良介が里奈ちゃんのことを本気で好きになったときが怖い。良介が、里奈ちゃんから離れられないなんてアイドルとして致命的だから。」




「……分かってる。」



そう、僕はアイドル。みんなのアイドル。



「……くれぐれも『Cute Boys』の一員だってこと、忘れないで。」



「……うん。」



僕がそう言うと、大翔は笑顔に戻った。



「開演前にごめん。気持ち切り替えて、楽しんで行こう!!」



「……うん!!」




僕も笑顔でそう返した。