てかそれより今日居残りだし。


駿より居残りだし。



「なーかーの?居残りだぞ」


「先生、言い方きもい」



それだけ言い残して

数学の問題をといていく。

頭悪いから全部適当なんだけど。


「やばー雨降りそうじゃん」



あーあ、傘ないよ。

萎えた。萎えた。



「中野雨降ってるから気をつけてな」


「はーい」



居残りさすお前が悪いよ、

とか思いながら歩く。

まだ4月だけど雨が降ってるし

とても寒い。



「さぁむーいっ」


独り言が校舎に響く。



「……でけえ声」


「え、駿?」


なにしてんだこいつ。

まさか待ってた?

いや駿に限ってあるわけない。



「……さゆ傘あんの?」


「ない」


「……かしてやろっか?」


お、優しいじゃないか。


「ありが「相合傘」



遮られる私の声



「………え、相合傘?」


「……ったりめえ」


相合傘をして帰る事に

なったん で す が


「駿ぬれてない?」


「……ぬれてるねー」


「あたしやぱよけるよ!」


「…うっせえ」


「だって駿ぬれちゃうし」


「…姫は黙って送られなさい」




きゅん。


心臓が跳ねる。


駿、こんなに優しかった?