あたしはその場から立ち去った。


少しでも遠くに……。


逃げ出したくて……。


「……杏…?…杏っ!!」


大翔の声が後ろから聞こえる。


でもあたしは振り返らなかった。


ううん……。


振り返れなかった…。




あたしは走って教室に戻った。


「杏!?なんで泣いてんの!?」
「帆乃香ぁー…。」


帰り道、あたしは帆乃香と達也に一部始終を話して、ずっと泣いた。


帆乃香は黙って話を聞いてくれた…。


達也はカバンを家まで持ってくれていた。


2人がいてホントよかった……。