「それあたしのだっ…!!ありがとう!!どこにあった?」
「メシ食ってたらひらひら飛んできた。」
「そうだったんだ。ありがとう風戸くん♪」
「…なんで俺の名前知ってんの?」
「あ…えっと…、風の便り…?」
何意味不なこと言ってんのあたし…。
あーあ…。
風戸くんもきっとひいてるよ…。
「プッ!!」
「…へ?」
あたしの予想とは裏腹に、風戸くんは思いっきり吹き出して笑ってる。
「あんた何言い出すかと思えば!!まじウケるーっ!!」
「そ、そんなに笑わなくても…。」
そういえば…。
あたし風戸くんの笑う顔、あんま知らないかも…。
や、でも他クラスなんだから当然か…。
何言ってんだあたし。
「あんたさ、名前は?」
「えっ!?名前!?」
「そっ!!名前!!」
「きょ…京月杏っ!!」
「あんたメッチャおもしれー!!覚えとくよ!!あ、じゃあ俺行くとこあるから!!そんじゃっ!!」
風戸くんは忙しそうにドアノブを回す。
「あっ…!!」
あたしが声をかけたときには、風戸くんはもう行ったあとだった。
下の名前…聞きたかったなー…。
ん?
あたし自惚れてる!?
ダメだダメだ。
たかがランチョンマット拾ってくれただけじゃん…!!
だけど…、
心臓がスッゴい苦しい…。
こんな感情…、
初めてかも…。