「あっ…!!あたしのランチョンマット!!」
お弁当を広げた瞬間、あたしのランチョンマットが宙に舞った。
気付くと、ひらひらと飛んでいってしまった。
「あたし取ってくる!!」
「行ってらっしゃーい♪」
玲花と愛梨の声がキレイにハモった。
今日の風はそよ風だからそんなに遠くには行ってないはず。
でも…さ…。
ムダに広いよこの校舎ーっ!!
それにどうしよ…。
肝心のランチョンマット、見つからない…。
恐るべしそよ風…。
「はぁー…見つからないか…。」
あたしが落胆してもと来た道を戻ろうとしたときだった…。
「これ…、あんたの?」
後ろで声がする。
あたしは急いで振り返った。
すると、見覚えのある男子が、あたしのランチョンマットを持っていた。
「……風戸くん…。」
その男子は、他クラスだけど、学年で最も人気のある風戸くんだった。
友達からも名字で呼ばれてたから、下の名前は知らない。