「偽名使っててごめんなさい…!!でもあたしは杏月大翔としてのあたしより、京月杏としてのあたしのほうが好き…!!京月杏は杏月大翔にとって、理想のかたまりなの…っ!!だから……だから…っ…!!」
あたしの頬に生暖かいものが流れた。
そっとそれを拭う。
でも涙は溢れ出すばかり……。
「杏…大丈夫…?」と帆乃香。
「うん……。」
あたしはマイクを遠ざけ、帆乃香と達也にしか聞こえないほどの声で言った。
……そしてまた、マイクを構えた。
「だから…っ……、京月杏としていさせてください…っ……!!」
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