「…兄貴だったんだな」
 
 
『え…あ、はい』
 
 
先輩の顔はもうさっきのような赤い顔ではなく、いつもの先輩。
 
どこか安心しているようにも見えた。
 
 
「…じゃあ、俺行くな?ゆっくり休めよ。明後日は学園祭なんだし」
 
 
『あ、はい。ありがとうございました!』
 
 
そう言うと、いつもあまり笑わない先輩が、微かに微笑み、帰っていった。
 
 
その笑顔を見て、あたしの胸は高鳴る。
 
 
…まだ先輩が好き
そう思ってしまった。
 
 
だから、諦めない。例え先輩があたしをただの後輩だと思っていようとも…。
 
 
最後まで、諦めないよ!
 
 
 
…それにしてもなんで先輩、仁兄のこと聞いてきたんだろ?
 
と言うか、なんであんな顔したんだろ?
 
 
…んー…不思議だ。
 
 
 
あたしは家に入り、部屋に行くとまた眠りについた。
 
 
 
 
 
 
一…それからゆっくり寝たのが良かったのか、あたしはすっかり元の元気を取り戻し、次の日、学校に向かった。
 
 
学校に行くと、姫奈たちが心配そうにあたしを見てきたけど、元気な姿を見て、笑ってくれた。