結局入ったのは、ファミレスで。

千尋さんのいろんな事を聞いた。



歳は22歳で、僕より5歳も大人だった。
仕事は、おじいさんの起てた小さなイベント会社で、お父さんはそこの社長らしい。
だから所謂お金持ちのボンボン。
趣味は絵画で、特技は料理。




楽しそうに話す千尋さんを、僕は楽しそうに聞いた。

千尋さんの事が知れて嬉しかったし、何より千尋さんの話は面白い。



無理矢理じゃない笑顔。


それには裏なんて無くて、純粋にありのままの千尋さんで、僕に接してくれてるって分かった。





こんなに良い人が、僕の前で笑ってくれる。

人と過ごすのが、こんなに楽しいとは知らなかった。
気持ちを伝えるのが、こんなに簡単だなんて知らなかった。



「そういえば、アドレスも教えてよ」

と千尋さんは言った。


連絡が取りやすい方がいいでしょ、と笑いながら言う千尋さんを見ると、なにかに安心する。




千尋さんは、僕を“普通”として扱ってくれる。



こんな人初めて……