僕の帰りが遅いと、「心配した」って言ってくれる百合子さんだけど、本当は違うと思う。
僕が家に居ない間は、ずっとこうだと思う。
親父も、百合子さんが好きなら、僕を抱かなければいいのに…
もう一口、煙を多めに吸って吐きだす。
薬をそうだけど、煙草も、また依存してしまいそうだなぁ。
好きじゃない人と、身体を重ねる事は簡単だ。
僕はもう何の抵抗もない。
唯一抱かれるのが嫌な相手は、親父だけだ。
僕は親父が嫌いだし、親父も僕の事はどうでもいいと思ってる。
それに百合子さんにまで、親父の事で僕を嫌になって欲しくない。
僕は“人”が好きではないけど、人に嫌われたくないし独りになりたくない。
だから、本能というか、直感というか、この人は良いって思った人には態度を考える。
千尋さんにも、今度からそうしよう。