僕は吐き気を抑えながら、980円分の駅を通り過ぎるのを待った。

「だるいなぁ…」

声に出たのかは分からないけど、僕はいつも動いてる時そう思っている。
何故か、さっきの彼の顔が頭に浮かんだ。

そういえばあの人と居る時は、だるいって思わなかった気がする。



僕は貰った名刺をポケットから取り出して、見た。


薬が効いてるようで、目がうまく見えない。



「おう…せ?」

んーっとなんだっけ?


これ、なんて読むんだっけ?



「ちひろ。」



女みたいな名前。