向かい合って抱きしめられてる。
彼の身体は僕の倍くらいあって、僕の身体はすっぽり覆われてしまっている。

身長差、20cm以上はあると思う。


自分から突き放すようなひどい言い方をしておいて、それに自分で気付いて少し後悔したくせに、関係ない事を考えてる僕に呆れた。



彼はいま、どんな事を考えてるんだろう。
どうやって僕を捨てようか、とか
どうやって別れようか、とか
そんな事だろう。



僕は、せめて自分から此処を出て行こうと思った。

「僕なんかに関わらない方がいいと思うよ?」


僕は彼の腕の中からもぞもぞと出て脱いだ服を拾う。

彼は何も言わない。
僕も何も言わなかった。


今日買ったばかりの服に、また腕を通す。

僕は身支度を終え、「じゃぁ」と言って部屋を出ようとした。



でもそれは許されなくて、彼に腕を掴まれた。

「なに?」


僕は噛みつく。


しっぽなんか、振ってやるもんか。