「しない。」


それは信じなかった。
絶対に誰でもすると思う。

僕を汚いと思って離れていくだろう。


でも僕は、この人が僕の事をどこまで想ってくれるのか知りたくて。



「お客さんを探してたの。今日の。いつもお客さんを探す時、あそこに行くの。お金が要るから。でもよく間違えられるけど、孤児じゃないよ?立派な家があるし…あんまり帰りたくはないけどね。…今日はたまたま運が悪くて、こんなに傷だらけだけど。」


自分の事を話したのは、これが初めて。
なんて気の使えない言い方だろう。
僕は僕の事をこの程度にしか思ってない証拠だ。

「どうして、そんなになるまで自分を追い詰めてしまった?どうしてお金が必要?」



「僕は僕に優しくしてるよ?一生懸命僕を守ってる。」

そう。
僕は僕を愛してる。

他の誰にも愛されない僕を僕は愛してるんだ。


「お金は、僕の為。家を出て行った母さんにあげてる。」



彼はそれ以上何も聞いてこなかった。

僕の考えた通り、僕の言った通り、軽蔑したんだろう。
僕を汚いって思ったろう。