「ん……」
だんだん深くなっていった。
まあ、予想はしていたしこのまま…
うん、大丈夫。
心臓がドキドキうるさいのも、いつも相手をする客とは違うから。
そう。
彼は違うと思う。
「“いい”?」
僕は声を出したら何故か泣いてしまいそうで、こくりと1回頷いた。
傷の1つ1つにキスをして、「痛かったね、もう大丈夫、頑張ったね」と言ってくれた。
僕は初めて壊れ物を扱う様にして抱かれた。
余計な事も考えないで、はじめて夢中になれた気がした。
ただの商売道具として使っていた身体を、僕は僕自身、“人間”なんだ、って思った。
こんなに優しくしてくれる人が、世の中には居る…
その事実を知っただけで、少し軽くなった。