「痛い、です…。」
僕はこれまた遠慮がちに言った。

僕以外の誰かが、僕に優しくするのは初めてで、戸惑いが隠せない。



「痛いよね、我慢してね。化膿したら大変だ。女の子なんだから…」

にっこり笑った顔しかまだ見たことがない彼が、すこし哀しそうな顔をしたから
僕もなんだか哀しくなった。

僕なんかの為に、そんな顔しなくていーのに。




頬に擦り傷が出来たのは初めてで、“痛い”を我慢する方法を僕は知らないから。

きっとそうだから、



涙が出た。