僕が返答に困っていると、彼は両腕を広げて「おいで」と言った。
僕はさらに困る。
ベットの上に座っている彼。
その空間の入り口に立っている僕。
ど、どこに行けばいいの?
膝の上?
その隣?
僕がもたもたしていたからか、彼は「はやく来いよ」と言葉を変えて言った。
この人、僕を買う気ではないみたい。
とりあえず、彼の隣に座る事にした。
服を変えただけだあって、身体についた砂が取れたわけじゃないし
綺麗にメイキングされたベットの上に座ることさえきが引けたが、彼の膝の上よりはマシだと思った。
そういえば、電車でも座ってなかったっけ。
車では緊張したし、やっとゆっくり出来るなぁ。
そう思った。
僕が隣に座ると、彼はコンビニの袋から消毒液と絆創膏を取り出して、手当をしようとした。
「んー…砂。1回洗った方がいいね。」
いいよ、しなくて。って言おうとしたけど、
彼が僕をお姫様だっこして風呂場に向かったから、言えなかった。
彼は戸惑う事なく、僕のYシャツのボタンを外して服を脱がせた。
そして自分も裸になって、風呂場に入る。
ユニットバスではなくて、タイルの上の椅子に僕を座らせてシャワーを出した。
「ちょっと痛いけど、我慢してね。」
彼は小さい子をあやすように言った。