結局、僕が嫌がれば嫌がる程相手は喜ぶんだと思う。

この考え方は間違っていない。


人通りが少ないからと言っても、大声を出せば誰かが気付いただろう。
それでも僕に大声が出せないのは、誰も僕を助けてはくれない事が分かっているから。


その時だけ助けられるのは、なんとなく嫌だ。
根本的に僕を助けようとする人が居るとは思えない。
僕は自分で僕を助けてあげるしかないんだ。

そんな小さいプライドだけで、耐え抜いた一時。



もう抵抗するのもめんどくさくなって、辞めた。





結局、今僕は公園の公衆トイレに横たわっている。

汚いとか、そういうのは感じなかった。


いちばん汚いのは僕だと思う。



外のトイレよりも汚い僕は、何時間此処で過ごしたかもう分からなくなっていた。

あの男が何者なのか、刃向かったら僕なんてどうにでも出来るような権力を持った悪。
その鬼の背中には浮世絵の刺青が大きく描かれていて、この前は気付かなかった自分の視野の狭さに呆れた。