百合子さんは病室に入ってきた時、気まずそうにしてたけどだんだんと柔らかい表情になっていったから、安心した。


5時くらいに百合子さんは帰って、千尋さんと入れ違いになった。


「どう?少しは食ったか?」


やっぱり聞いてくる事はかわらないけど、捉え方が変わるとこうも違って聞こえるんだって、千尋さんは僕の事を想って言ってくれてたんだって、実感した。


自分へのプレッシャーとか、僕への配慮とか、千尋さんはどのくらい大きいものを抱え込んでいたのだろう?

そんな時に僕は、千尋さんの何をどのくらい軽くしてあげる事が出来てたんだろう?


1つも少しも無い……



千尋さんの方が僕なんかより遥かに苦しかったのに、全く顔に出した事は無かった。





「いきなりたくさんは食べれなかったけど、今日は朝ご飯もお昼ご飯も少しずつ食べたよ。」


もう心配しなくて大丈夫。

千尋さんが1人じゃ出来ない事は、僕が手伝いたい。
これ以上は頼らないで、自分の事は自分で頑張ろうって決心しました。



その日千尋さんは、たくさん僕を褒めてくれた。



だいすきな貴方との子供だから、僕はこの子を大事にする。
はやく千尋さんに会わせてあげたいな。