「百合子さんがお見舞いに来てくれた。百合子さんに言われて気付いたの。」


僕が間違ってた。
百合子さんは『間違ってないよ』って言ってたけど、やっぱり僕は間違ってた。



「僕ね、怖かったんだ。ちゃんとお母さんやれるのかな?って。お母さんの仕事とか、分かんないし。お母さんがどういうものなのかも、はっきり分かんないから…」


千尋さんの頷く声は低いまま。
眠い時の声だ…

今日も仕事だったもんね…
疲れてるのにお見舞いに来てくれて、なのに酷い事言って帰して、でも聞いてくれるんだ…


「それに、みんなが僕じゃなくて赤ちゃんの心配ばかりって寂しかったのかも。僕は自分の赤ちゃんに嫉妬してたんだ…」


嫉妬…
本当にその言葉がぴったり。
情けなさ過ぎて泣けてくる……



「でも、僕『頑張る』って言ったよね?みんなが僕の心配もしてくれてるって事にも気付いたし、僕には24時間赤ちゃんと2人って気付けたから。だから、ごめんなさい…」



ごめんなさい…本当に。



言いたい事はそれだけ、愛想尽かさないでくれてありがとう。と続けると千尋さんも言葉を返してくれた。


眠そう…
明日でいいよ。


そい言いたかったけど、やめた。

ここまで付き合ってもらったんだから、今日はもう少しだけ僕の我儘に付き合ってもらう事にした。

明日から、僕は変わるから。
だから、今日が最後で…

いいよね?