いくら情緒不安定な時期だからと言っても、自分のお腹の中の子に嫉妬するなんて子供過ぎる…
そんな事すら、自分で分かってるんだよ…

それなのに自分の気持ちを制御できないの。


「違うんだ、百合子さん。僕、赤ちゃんに嫉妬してる…」


恥ずかしかった。
僕がどんなに成長してないか、分かられたみたいで。
そんな僕にがっかりするんじゃないかって。


「お母さんになれるわけない…産まれてくる前からこんなんなのに、産まれたらみんなはもっと僕に関心が無くなるでしょ…?」


少し穏やかになった涙が、またたくさん出てきた。



「…っ、産みたくないよぉ…っ!」



密かに閉じ込めて育ててきたこの思い…
思っちゃいけない事。

この子が産まれて、僕に関心がなくなるのも嫌だけど…
子供を殺したって軽蔑されるのも嫌で、ずっと温めてきた。



パシン



静かな空間に、乾いた音が響いた。

百合子さんは涙目になりながら、僕を叩いた。



「……。」


痛い…
叩かれたところを手でさすると、熱くなってた。