「さっきそこで、千尋さんに会ったわよ。喧嘩したんだって?」


会ったんだ…
何か話したのかな?

「うん…僕が悪いんだけど。」



僕が悪い…
そんな事は分かってるし、千尋さんが言いたい事も痛い程分かる…

でも……
自分のお腹の中に居る赤ちゃんに嫉妬してる、なんて言えっこない。



「内容、聞いてもいい?」


千尋さんから、聞いてないのかな?
僕が我儘で分からない事を言ってる、って。


「うん…」




僕は全て百合子さんに話した。
面会時間がすぐそこで時間が無かったから、大まかに、だけど。



「そっか、そっかぁ…」


百合子さんは僕の要略した話を聞いて大きく頷いた。



「私の友達もそんな感じの時があったけど、男の人には分からないよね。」



百合子さんは独身だから、妊娠の経験がないけど、と笑いながら言った。