お腹の膨らみとは反比例して、僕の身体はどんどん栄養が奪われていく。
もうすぐ9ヶ月……



食べれなくなって3週間経った頃。
産婦人科に診察に行くと、入院させられてさらにストレスがたまる。
味のないご飯に、栄養補給の為の点滴。

千尋さんは仕事が終わると、毎日お見舞いに通ってくれていたけど…
それさえも今の僕にはストレスだった。



「ちゃんと食べてる?これ、ヨーグルトとサラダ作ってきたよ?冷蔵庫入れとくから、食べろよ?」


千尋さんは少しでも何か口に入れろ、って口をすっぱくして言ってくる。

備え付けの冷蔵庫を開けて、千尋さんは言った。


「昨日持ってきたやつ、まだ食ってねーじゃん。」


「お前いい加減にしろよ。お前だけの身体じゃないんだから、腹ん中に居る子供の事も少しは考えろ。」



は…?
何言ってんの…?


「何?みんなして食え食えって。赤ちゃんの事しか考えてくれないで。誰も僕の事じゃなくて赤ちゃんの心配してるだけでしょ?!僕ぐらい僕に優しくしてあげたっていいじゃん!」


みんなが心配して口うるさく言ってくるのは、赤ちゃんが心配だからで…
誰も僕の心配をしてるんじゃない。

僕のお腹の中に居る“赤ちゃん”が心配なだけでしょ?



「お前、何言ってんの…?」