その日から、平日はいつも通りだった。

千尋さんは会社に行って、僕はバイトに行った。


カレンダーの赤い日には、結婚式場を回ったり、招待状を作ったりした。




そしてプロポーズから1ヶ月後、千尋さんのご両親に挨拶に行って、父さんと百合子さんにも報告して、千尋さんとタツヤの所にも行って。

みんなが祝福してくれた中、僕は晴れて“逢瀬 優貴”になった。


千尋さんのお父さんとお母さんは、僕のお父さんとお母さんになった。
2人は「やっとか、千尋は奥手過ぎて、優貴さんはじれったかったろうに」なんて言ってた。

父さんも百合子さんも、この報告を待っていてくれたみたいで自分の事のように喜んでくれた。


タツヤは千尋さんも見て安心したように笑った。
千尋さんもタツヤも緊張してたみたいで、ぎくしゃくした感じが面白かった。

兄弟になったのに、と僕が笑うと千尋さんもタツヤも僕をにらんだ。


いい兄弟になれそう、とほほ笑む僕を見て千尋さんもタツヤも一緒になってふざけ合った。



本当の兄弟みたいだな…




それから、いちばん目に見えて喜んでくれたのは店長だった。
泣きながら「よかった、よかった」と繰り返してた店長は、お母さんみたいに主婦の心得を語ってくれた。