月か夜景か分からない柔らかい光に照らされた千尋さんは、すごく妖艶で絵本から飛び出した王子様に見えた。


「目を逸らしたくない。ずっと見て居たい。」


だんだん恥ずかしくなって顔を背けた僕の顎を掴んで、千尋さんはまた自分の方を向かせた。

千尋さんの眼に映る僕を、僕は凝視するしか許されない。
そい言われてるようだった。


「だからほっとけないんだ。」


千尋さん、今自分がどんな顔してるか分かってる?
出来る事なら、僕を千尋さんの一部にして…



「俺が居ないと生きられないようになればいい…」



"I can't live without you..."

僕も、同じだってば…



目を閉じた千尋さんの顔が近付いてきて、僕も目を閉じた。

予想通りの行為はどんどん深いものになって…
狭い車の中できつく苦しいぐらいに抱きしめられた。

きっとこれが、千尋さんが想ってくれてる苦しい程の“すき”なんだね?



「ゆーきのコレカラ、俺に預けて。嫌になっても離さないけど。」



千尋さんは、恥ずかしげもなく僕を見つめて言う。