「…ごめん。」
少し間を置いて、千尋さんは低い声で言った。
「なにが?」
何に対して謝ってるの?
隠し事してる事ついて?
約束を破った事について?
「や、隠してるっていうかさ…」
言い訳かな?
なら、聞きたくないな…
「こっち向けよ。」
「いやだ。」
だって僕、絶対怖い顔してる…
さっきまで楽しかったのに、今は笑顔は作れないよ。
隠し事があったから、昼間まで口数が少なかったんだ…?
僕が話しかけても、上の空っていうか。
きっと千尋さんは僕が質問をしても「うん。」しか言わなかった事に気付いてない。
だって相槌ばかりだったもん…
「はぁ~…」
千尋さんは大きなため息をついて僕の手を自分の膝の上に持っていった。
「……。俺、今日余裕ないんだよ。そのくらい許してよ。」
そう言い終わった千尋さんは、僕の手を離した。