そうして、また1週間が始まった。
日曜日以外は、毎日バイト。
千尋さんも日曜日以外は全部仕事だ。
働いていると、時間が経つのが早く感じる。
バイトを始めたばかりの頃は、休みの日に家で千尋さんの帰りを待つのも苦痛で、千尋さんに会えないバイト中も寂しくて仕方なかった。
一緒に居ない時間に慣れた、と言えばなんだか寂しいけど…
僕もそれなりに大人になったわけで。
もう半年もすれば、僕は二十歳だ。
いよいよ甘えてられない歳になるわけで、生活リズムにメリハリを付けるのも悪くないなぁ、と思う様になった。
今は、本屋の片平優貴だ。
千尋さんの片平優貴ではない、と自分に言い聞かせる。
でも、1日中千尋さんの片平優貴になりたい、と思う事が多くなった。
いつまでも就職もしないでバイトなんて、千尋さんの見られ方も変わってくると思う。
僕の見られ方なんてどうでも良いけど、千尋さんの見られ方が僕のせいで悪くなるのは耐えられない。
はやく僕を正式に、千尋さんのものにしてくれないかな?
もしかして、僕とは望んでない?なんて事はないよね?
…なーんて。
“本屋の片平優貴”とか言ったそばから、千尋さんの事を考えてぼーっとしてしまう。
そして店長に突っ込まれる。