いつの間にかぐっすり眠ってしまって、起きたら隣に千尋さんは居なかった。

ハッとして、息がとまりそうになる。
やっぱり夢だったんじゃないか…

だって、抓った頬っぺたはちゃんと痛い。


飛び起きてリビングに行くと、千尋さんはコーヒーを飲んでいた。



「ん?どうした?そんなに慌てて。」



良かった…

いつも僕の方が早く起きるから、僕が起きた時に隣に千尋さんが居ない事が不自然だった。


僕はほっとして千尋さんに抱きついた。


「もう、居なくなったかと思った…」


千尋さんは泣きそうな声とした僕の頭を、優しく撫でてくれた。



「俺もそんな感じだった。ゆーきが居なくなった時。」


千尋さん…



「怖くて、あんまり寝れなかったよ。」


また笑いながら言う千尋さん。



千尋さん、千尋さん。
たくさんごめんね……。