苦しくてもがいてもがいて何かを掴もうとしていたあの頃を生き抜いた、僕の成長の記録。


千尋さんはその傷に気付いた時に、こう言ってくれた。




「たくさん悩んで、たくさん傷ついたんだね?」


「優貴は正解を探してたみたいだけど…、不世界なんて無いんだよ?優貴が出した答えと、考えて悩んで出した結果が、全て正解なんだと俺は思う。」


「もっと上の答えは理想でしかなくて、進んだ後に気付くものなんだ。」


「大正解なんて、要らないよ。」

「それを求めるのはしょうがない事だけれど、誰も出せない答えだから。優貴が劣ってるわけじゃない。だからこんな風に自分を傷つけるのは辞めて。」


「大正解なんて、人間には出せない。そんなのは希望でしかないから。」


「求めるなんて、無いものねだりだよ。それが人の性だ。」



この傷を見れば思い出せる。

千尋さんが、僕を大事に想ってくれてる事。


もし未来に、僕らが一緒に居ないとしても…
千尋さんに愛されてる“今”は変わらない。

どうしても消せない、きっとずっと僕の大事な大切な僕の記憶。