片付けが終わって、千尋さんの元に歩く。

短い距離、さっきまで隣でくっついていたくせに緊張する。



「終わったよ。行こう。」


僕は千尋さんの車で、そのまま千尋さんのマンションに帰る事にした。
父さんと店長、百合子さん、ハルに、何回言っても足りない「ありがとう」をした。

ハルと向かい合って、ありがとうを言った。


もう会えないみたい、と笑った。
バイトは辞める樹は無いし、またすぐに会えるけど。


そうして千尋さんと一緒に帰った。



車の中で、千尋さんは言った。

「聞いたよ、お母さんの事。」

「あぁ、うん。」



やっぱり、父さん言ったんだ。

「ねえちーちゃん。僕決めたよ。」

「なにを?」


決めたの。

前のままじゃだめだって、分かったから。
もうぶつかりたくない。

これも、“逃げ”かもしれないけど、また離れるよりはマシ。