此処には、みんなが居る…

僕は幸せ者なんだ、と実感した。


「さて優貴、お前どうする?」
父さんが言った。

「あのアパートに、まだ住むか?」

僕は……
千尋さんの顔を見た。

「うちに、帰っておいで。」


千尋さん…
いいの?僕で…

「じゃあ、解約の手続きもしておくから。帰る支度をしなさい。」

「え?もう帰っていいの?」

「なんだ?ここに居たいのか?」


父さんはいたずらっぽく笑いながら言った。


「ううん!」

僕も笑って答えた。


僕が帰る支度をしてるときに、父さんは千尋さんに点滴の説明と薬の説明をしていた。
千尋さんはそれを一生懸命メモしている。

ハルが、入院中に持ってきてくれた荷物をまとめてくれるのを手伝ってくれてる。


「ったく、そんなにあいつがいいのかよ…」

作業をしながらそう言ったハルは、少し膨れっ面だった。


「うん。千尋さんじゃなきゃだめ!初めての人なの!」


僕は笑顔で言った。