「タツヤには会えないし、気にするな。お前は何も悪くないから。」

父さんはそう言っていた。


計り終わった僕の脈と血圧を見て、うーんと唸るとドアの方を気にして機械を片付け始めた。


「先に自分の事を解決してから、考えればいい。もっと自分を優先していいんだ。」



違うよ、父さん。
僕はいつだって、僕をいちばんに考えてきたんだよ。
そんな自分に嫌気がさしただけなんだよ…


父さんは何も言わない僕に背を向けて、病室のドアを開けた。

僕は目を疑って、身体を起こして座る体制になった。


「……。」

そこには俯き気味の千尋さんと、申し訳なさそうに立っている店長が居た。


「ゆーき…」




久しぶりに見る千尋さん。
なんだかやつれたみたい…

ご飯はちゃんと食べてるのかな?
しっかり寝れてるのかな?
仕事は順調かな?
お父さんと仲直りできたのかな?



千尋さんはベットの傍までゆっくり近づいてきた。


店長も父さんも出ていってしまって、僕と千尋さんだけが狭い病室に残された。



歯を食いしばって、千尋さんは上から僕を見る。
くるしそうな顔…。