それでも僕は動けなかった。

手紙を何度か書いたけど、まとまらなかった。
何枚も何枚も書いたけど、足りなかった。


千尋さんから手紙をもらった次の日に、バイトに行くと店長は父さんが昨日来た、と言っていた。
挨拶だけしに来たそうだ。

それと、千尋さんもしばしば来るそうだ。



僕がバイトに復帰してから、もうすぐ1ヶ月。

千尋さんのマンションを出てから、もう2ヶ月も経とうとしていた。


千尋さんと過ごした時間が嘘みたいに、今の時間は流れるのが遅い。
まだ、2ヶ月…


僕の中で千尋さんという存在が、生活になっていたのは最近になってやっと気付いた。

離れてみて初めて分かった事もたくさんある。
まだ失ったわけじゃない…



眠れない日が続いて、父さんがくれる薬の量も増えた。
朝から夜までバイトだから、点滴が出来る時間は減ったためだ。

バイトは週6。
出来るだけ1人にはなりたくなくて、生活費も必要で、店長に無理言って入れてもらっていた。




ご飯は喉を通らないどころか、見るだけで吐き気がするようになった。

お米も、パンも、水すら薬の味がする。
手の震えも1日中続いて、倦怠感は消えなかった。

どんどん悪くなっていく身体。



僕の為に生きるなんて、無理なのかな?