僕を見るなり、店長は僕に駆け寄った。


「あの、ずっと連絡出来なくてごめんなさ…」

僕が言い終わるよりも早く、店長は言葉を遮った。



「どうしたのよ?!あの日以来シフトも出ないし連絡もつかないし、心配したのよ?!」

怒っているような、早口で大きめの声。
でも怒っていないのは、顔を見ればすぐに分かる。


「もう…こんなに痩せちゃって…優ちゃんっ!」

店長は僕の肩を掴んで抱き寄せた。


「本当に心配した…良かった、来てくれて……。」


店長は泣いてた。


「ごめんなさい…」


僕も泣きそうになった。

色んな事に、応援してくれてた店長。
僕が料理を始めた時も、コツを教えてくれたりレシピを教えてくれたりした。

あの日だって…



「今はどこに居るの?」

家に近くで独り暮らしを始めた、と正直に答えた。
嘘をつく気になれなかった。


「逢瀬さんが心配して何度も此処に来たのよ…」



千尋さん…


「いちばん心配してるのは逢瀬さんよ。」