母さんが死んだなんて嘘。
そんな事信じない。

そんな嘘をついて、何になるの?


「嘘じゃない。タツヤから、連絡がきた。」

タツヤとは、僕の弟。
母さんと一緒にうちを出ていってから、一度も会ってない。



そんな…

「俺はさ、優貴。お前が望むなら、と理由を付けて逃げてきたんだ。」


親父…?


「お前が母さんの為と言うなら…お前が此処を離れるというなら…」



母さんに愛されたい。
抱きしめて欲しい。


それを望んだのも、だからと言ってやり始めた売春も…
僕が望んでやった事だ。


「でも、目が覚めた。俺はずっと優貴に頼っていたのかもしれない。優貴が笑子を連れ戻してくれる、と。情けないよな。」


笑子、とは母さんの名前。
笑った母さんの顔なんて、覚えてないけど…


「だから、お前が此処に居るのが嫌なら、出て行っても構わない。此処にその為のものがある。」



ちょっと待ってよ…

全然頭がついていかないよ…



「もうお前の好きなようにするといい。」



僕は…