「もういいんだ。俺が悪かった。許せないと思うが、もうあんな酷い事はしない」



なぜ今まで荒れていた親父が、こんな風になったのか。
分からなかった。

娘なのに…
分からなかった。


「現実、見なきゃだよな…」


こんなに哀しそうな親父は、見た事がない。


「お父さ…」


初めて呼ぶ“お父さん”と。


「笑子、母さんは、お前がいくら頑張ってももう戻ってこない。」


なんで…
いきなり…


「お前が家を出ていく少し前に、死んだ。」


…………………?

し、んだ…?

「そんな、うそ…」


信じない。

だって…


「信じないよ。」


だってまだ一度も、


「冗談やめてよ…だって」


抱きしめてもらってないよ…?



ねぇ、母さん