レストランに着いた。
ウエイターに案内された席に、まだ千尋さんの両親は居なかった。

そっと胸を撫で下ろす。


よかった…
待たせたら失礼だもんね…

千尋さんと隣に座って、ご両親を待った。
空いた席に向かって千尋さんの隣に座ってるのは、なんだか違和感…


「緊張する…バイトの面接の時より緊張する…」


千尋さんは笑って「大丈夫だって!…たぶん。」と言った。

たぶんって!!
怖い事言わないでよ…

「俺まで緊張してきた…」

うつすなよなーって笑ってごまかしてる千尋さんの手は少し震えていた。



「お待たせ。」

後ろから声がして、びくっとなる。

振りかえると、目が千尋さんにそっくりな男の人と、口元と雰囲気が千尋さんにそっくりな女の人が立ってた。

この人だ…とすぐに思った。


千尋さんも「遅いよ」という。

僕は立ちあがって、挨拶をした。



声が震えた…

千尋さんのお母さんが笑って「座って」と言う。


声、そっくりだなぁ…

そんなのん気な事を思う。