千尋さんはすぐに来てくれて5時半には美容院に行く事が出来た。
ワンピースを着ている僕に、千尋さんは驚いていたけどすごく嬉しそうに笑ってた。
約束の時間より早くなってしまったけど、美容院のお姉さんは笑顔で僕の髪をセットしてくれた。
ワンピースに合わせて、ふわふわに巻いた髪にワックスをなじませる。
多少でも、着飾るのはやっぱり少し気恥ずかしいけど…千尋さんも美容院のお姉さんも褒めてくれて。
少しだけ自信が持てた。
7時に予約してあるレストランに車を走らせる。
車の中で千尋さんが「いつも通りのゆーきでいいから。」と、店長と同じ事を何度も言ってくれた。
それでも、僕にとっては重要な事。
簡単に緊張はほぐれない。
千尋さんは、信号が赤になるたびに僕の頭を撫でてくれた。
「もう、そんなに撫でたら髪の毛崩れちゃう…」
千尋さんは笑うだけだった。
最近思うけど、千尋さんは女の子の扱いに慣れてると思う。
本当はすごく気になる。けど…
こんなに格好いいんだもん。
今まで彼女が居なかったわけがない。
そんな事は分かってる。
千尋さんの過去に嫉妬したところで、何もならない。
でもやっぱり考えてしまうんだ。