これから先、もし何かがあって千尋さんを嫌いになっても。
どうしても一緒に居る事が出来なくなっても。

絶対後悔しない思い出たち。


だって、此処があるから僕は変わる事が出来たんだもん。

後悔なんてしない。


万が一、思い出したくない思い出になったとしても、それをバネにしてもっと成長してやるんだ。




最も、今はまだ離れるなんて想像もつかないけど。








ホントに、時が経つのは早いもので。
僕が千尋さんと一緒に住み始めて、もう4カ月も経つ。

あれから僕は面接に受かって、本屋でバイトをしている。

朝の10時からで、退勤時間は5時。
店長は中年のおばさんで、とても優しくていい人。

千尋さんはよくその本屋に行くらしくて、店長は千尋さんとの生活に合わせてシフトを組んでくれている。

バイトは僕だけだから、ほとんど毎日バイトしている。

家に居てもどうせ暇だし、助かっている。


母さんへの振り込みは、月に2万、と親父が決めてくれた。
あれ以来、親父はなんとなく穏やかに見えて、それは僕が家から出たのもあるだろうけど、百合子さんのおかげでもあるのだ。



それから、週に1回
僕は料理教室に通い始めた。

千尋さんのお弁当が作れるようになって、千尋さんも喜んでくれている。
毎日空っぽになって返ってくるお弁当箱を洗うのが、嬉しくて仕方がない。

教室に来てる人は主婦ばかりで、子持ちの人が多く、僕はそこでもとても良くしてもらっている。


最近はお菓子も作れる様になった。