思った事を伝える事が、こんなに難しいなんて知らなかった。
そもそも人付き合いに慣れてないから、自分がどうするべきなのか分からない。
人が普通にできる事が、僕には出来ない。
劣等感。
千尋さんとは、離れたくないと思った。
何もかも全部捨てなくちゃ、手に入らないものは自分にとって必要なモノじゃない。
僕は“僕”を捨てる事なく、千尋さんという宝物を見つけた。
でも千尋さんだったら、何もかも全て捨ててまで“欲しい”って思ったんだ。
本当だよ?
失ってから気付くものもあるかもしれないけど、失う前から大事って気付けてるものだけ、大事に出来ればそれでいいと思うんだ。
それが出来れば後悔なんてしないから…
千尋さんと居る時間はアッという間に終わってしまう。
千尋さんの仕事が休みの土日、祝日。
しょっちゅう色んな所に連れてってくれる千尋さん。
どこに行ったのかも、何を話したのかも、何を食べたのかも、全部足りない。
今まで何も要らなかった僕が、僕じゃ無くなったみたいに欲張りになった。
僕は日記を書く事にした。
たくさん撮った千尋さんとの写真も、1つ残らず貼った。
忘れたくない。