10時に待ち合わせしていた客はまだ来ていない。
少しホッとして、駅の前のベンチに腰を下ろした。



空はムカつくくらい快晴。



2月だというのに、太陽が眩しくて暑く感じるのはたぶん錯覚だろう。

僕の体温はいつも低い。
常に36℃を切っていて、夏でも手が冷たく冷え症を発揮している。








それなりに街は騒がしく、賑わっていた。

僕はうるさい所が嫌い…



手を伸ばして繋いでいる親子が目についた。
楽しそうに笑い合いながら、歩いている子供は5歳くらいだろうか。
キャッキャッと笑いながら騒がしく歩いている姿を後ろから蹴り飛ばしてやりたい、という衝動にかられ立ち上がろうとした時…


上から声が聞こえた。



「君?」